0-45 建設業者様にとって公共工事への参加は、 工事代金の未回収リスクがないことや 対外的な信用が向上することから 非常にメリットが大きい工事であるといえます。

しかし、その反面、発注者としては、 受注業者適正かつ円滑な工事を行う能力を有するのかを 公平な方法で見極めなくてはなりません。

以下、一般競争入札(事業者自らが入札案件を探す)のケースにおいて、 公共工事を受注するまでの一般的な流れを記載します。公共工事における入札契約の流れ 出典:国土交通省「公共工事の入札契約制度の概要」より引用

建設業の許可を取得して発注者(国や公共団体等)へ入札参加資格審査申請

公共工事を受注するにはその前提として、 建設業の許可を取得して入札参加資格審査申請を行い、 各発注者有資格者名簿に登録される必要があります。

以下は、その流れです。

① 建設業の許可の取得
② 決算変更届の提出
③ 経営状況分析申請(Y点)
④ 経営規模等評価申請(X・Z・W点)及び総合評定値請求(P点)
⑤ 入札を希望する行政機関へ入札参加資格審査申請(格付け)
⑥ 行政機関の有資格者名簿に登載

建設業許可から入札参加資格審査申請までの具体的な流れは こちらをご覧ください。
>> 経営事項審査手続きの流れ

以下は、名簿に登載されてから、入札に参加し公共工事を受注するまでの流れになります。

主な入札方式の種類

入札とは、国や地方公共団体などの行政機関が民間事業者と契約を締結する際に、税金が原資となっているという立場上、公平性や透明性を確保するために行う契約形式です。

入札方式のを大きく分けると、主に次の3つの方式があります。

①一般競争入札
②指名競争入札
③随意契約

一般競争入札

一般競争入札とは、資格と条件があえば誰でも参加が可能な入札方式です。

行政機関で行われる契約は、原則として一般競争入札によることが法令で義務付けされており、初めて入札に参加される場合は、この一般競争入札に参加することからはじめるとよいでしょう。

また、一般競争入札の案件は、入札期日の前日から起算して少なくとも10日前に官報、新聞紙、掲示その他の方法のより公告しなけらばならないとされています。

多くの行政機関では、行政機関のWEBサイト上で発注案件を公表しています。

指名競争入札

指名競争入札は、発注機関があらかじめ選んだ業者だけで競争入札を行う方式です。

一般競争入札が原則ではありますが、次のような条件にあてはまる案件の場合には、例外的に、指名競争入札を行なうことが認められています。

・契約の性質や目的が一般競争入札に適しない場合
・契約の性質や目的により、競争に加わるべき事業者が少数となる場合

・一般競争に付することが不利と認められる場合
・予定価格が少額である場合
など

なお、選定基準については、発注者毎に「選定要領」を作成して、その基準に従って選定を行っています。

随意契約

随意契約は、競争入札を行うことなく、発注機関が選んだ事業者と契約を締結する方式のことをいいます。

随意契約は、発注機関にとっては、競争の手間を省略し、特定の資産、信用、能力のある事業者を選定できるというメリットがありますが、競争性がないため、公平性の観点から発注機関でガイドラインを作成して公表しています。

参考に、堺市のガイドラインを掲載させていただきます。
>> 堺市建設工事等における随意契約のガイドライン

随意契約は、主に次のような場合に行われています。

・契約の性質や目的が競争を許さない場合
・緊急の必要により競争に適さない場合
・競争に付することが不利と認められる場合
・予定価格が少額である場合

など

なお、随意契約が締結された契約については、発注機関のWEBサイト等で公表されます。

>> 公共工事の入札方式について詳しくはこちらをご覧ください。

入札案件の探し方(一般競争入札の場合)

一般競争入札に参加する場合、基本的には事業者自身で入札案件を探さなければなりません

入札案件は、ほとんどの発注機関がWEBサイト上で公開していますので、その中から自社が施工できそうな案件を探して入札に参加します。

検索サイトで、「発注機関(市町村名等) 入札公告」等と検索すれば、入札に参加しようとする市町村等の入札案件を、インターネット上で探すことができます。

堺市の場合、下記の入札情報公開システムから検索できます。
>> 入札情報公開システム(建設工事・コンサル)

発注機関のWEBサイト以外に、入札案件を探す方法として、民間企業が作成している「入札情報サイト」を利用する方法もあります。

有料とはなりますが、定期的に自社に合った入札案件の通知や入札に関連する情報を提供してくれますので、入札専門の担当者がいない事業者様等は手間と時間の節約になります。

例えば、次のようなサイトがあります。
>> 入札情報速報サービスNJSS
>> [入札王]官公庁・自治体の入札・落札情報提供サービス

さて、入札案件を検索しましたら「入札説明書」を手に入れます。

入札説明書は、WEBサイト上でダウンロードできる場合がほとんどですが、入札説明会が開催される場合はその会場で入手することができます。

入札説明書には、発注される工事の概要・場所入札の日時・場所等の入札の条件が記載されていますので、内容を熟読し、自社の条件に合う工事があったら、所定の期間内に、必要書類を添付して「入札参加資格審査申請」を行います。

この申請は、当該入札案件の参加資格を満たすかどうかを審査してもらうための申請となり、審査に合格した事業者のみが入札に参加することができます。

設計図書等の閲覧及び見積り

審査に合格したら、入札日までの間に、工事金額の見積り(入札金額)を行います。

審査に合格してから入札日の間に、 入札に参加する工事の設計図書等の閲覧貸出し(又は購入) が可能になります。

この設計図書等を参考に見積りを行い、この金額を基に入札金額を決めることになりますが、落札するためには、競合他社の状況を見極めながら入札金額を決める必要があります。

入札金額を決めるポイントとしては、気になる点を役所の担当者に質問する機会がありますので、入札説明書や仕様書等関係書類を読み込み、分からないことはきちんと質問することです。

また、発注機関のWEBサイトでは、過去の入札案件も確認することができますので、過去の同様の工事の案件を検索し、その案件をどのような会社が当該入札に参加し、どのくらいの価格で落札しているのかを確認することも重要です。

入札及び落札者の決定

入札説明書記載の入札日に、入札が行われます。

入札の方法としては、「紙による入札紙入札)」と「電子システムによる入札(電子入札)」の2種類があります。

電子入札を採用している発注機関(大阪府、大阪市、堺市、和泉市など)の入札に参加する場合には、事前に電子証明書(ICカードとICカードリーダー)を用意し、パソコンの環境設定を行う必要があります。

希望の入札案件があっても急に用意することは難しいですし、パソコンは不具合も起こしやすいですので、事前に余裕をもって用意しておくとよいでしょう。

発注者が開示した予定価格の範囲内最低制限価格以上最低金額で入札した事業者が落札者となります。

最低金額の入札者が2社以上ある場合には、 通常、抽選により落札者が決定されます。

契約

晴れて落札者となった場合は、「建設工事請負契約」を締結します。

多くの発注機関で、契約の締結を落札決定の日から7日以内としていますので、速やかに契約に必要な書類を用意し、提出しなければなりません。

特に、契約時に契約保証を求められますので、契約保証金を直接納付するか、保証会社等から交付してもらった契約保証証書を提出するかしなければなりません。

ですので、予め準備しておくことが大切です。

堺・南大阪・和歌山で公共工事の入札へ参加したい方へ

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行政書士の中村 武と申します。

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