建設業者様にとって公共工事への参加は、 工事代金の未回収リスクがないことや 対外的な信用が向上することから 非常にメリットが大きい工事であるといえます。
しかし、その反面、発注者としては、 受注業者が適正かつ円滑な工事を行う能力を有するのかを 公平な方法で見極めなくてはなりません。
以下、指名競争入札(発注者が入札参加業者を指定する)のケースにおいて、 公共工事を受注するまでの一般的な流れを記載します。 出典:国土交通省「公共工事の入札契約制度の概要」より引用
建設業の許可を取得して発注者(国や公共団体等)へ入札参加資格審査申請
公共工事を受注するにはその前提として、 建設業の許可を取得して入札参加資格審査申請を行い、 各発注者の有資格者名簿に登録される必要があります。
以下は、その流れです。
① 建設業の許可の取得
② 決算変更届の提出
③ 経営状況分析申請(Y点)
④ 経営規模等評価申請(X・Z・W点)及び総合評定値請求(P点)
⑤ 入札を希望する行政機関へ入札参加資格審査申請(格付け)
⑥ 行政機関の有資格者名簿に登載
建設業許可から入札参加資格審査申請までの具体的な流れは こちらをご覧ください。
>> 経営事項審査手続きの流れ
以下は、名簿に登載されてから、入札に参加し公共工事を受注するまでの流れになります。
主な入札方式の種類
入札とは、国や地方公共団体などの行政機関が民間事業者と契約を締結する際に、税金が原資となっているという立場上、公平性や透明性を確保するために行う契約形式です。
入札方式のを大きく分けると、主に次の3つの方式があります。
①一般競争入札
②指名競争入札
③随意契約
一般競争入札
一般競争入札とは、資格と条件があえば誰でも参加が可能な入札方式です。
行政機関で行われる契約は、原則として一般競争入札によることが法令で義務付けされており、初めて入札に参加される場合は、まず、この一般競争入札に参加することになります。
また、一般競争入札の案件は、入札期日の前日から起算して少なくとも10日前に官報、新聞紙、掲示その他の方法のより公告しなけらばならないとされています。
多くの行政機関では、行政機関のWEBサイト上で発注案件を確認できます。
指名競争入札
指名競争入札は、発注機関があらかじめ選んだ業者だけで競争入札を行う方式です。
一般競争入札が原則ではありますが、次のような条件にあてはまる案件の場合には、指名競争入札が行われています。
・契約の性質や目的が一般競争入札に適しない場合
・契約の性質や目的により、競争に加わるべき事業者が少数となる場合
・一般競争に付することが不利と認められる場合
・予定価格が少額である場合
など
なお、選定基準については、発注者毎に「選定要領」を作成して、その基準に従って選定を行っています。
随意契約
随意契約は、競争入札を行うことなく、発注機関が選んだ事業者と契約を締結する方式のことをいいます。
随意契約は、発注機関にとっては、競争の手間を省略し、特定の資産、信用、能力のある事業者を選定できるというメリットがあります。
しかし、競争性がないため、公平性の観点から発注機関でガイドライン等を作成して公表しています。
随意契約は、次のような場合に行われています。
・契約の性質や目的が競争を許さない場合
・緊急の必要により競争に適さない場合
・競争に付することが不利と認められる場合
・予定価格が少額である場合
など
なお、随意契約が締結された契約については、発注機関のWEBサイト等で公表されています。
>> 入札方式について詳しくはこちらをご覧ください。
指名業者の選定・通知(指名競争入札の場合)
指名競争入札の場合、 発注者が競争入札に参加する事業者を予め選定します。
選定基準は、発注者毎に「選定要領」を作成して、 その基準に従って選定しています。
等級区分に対応する発注標準金額以内の工事であっても、 指名業者に選定されなければ、 入札に参加することはできません。
選定の基準は、発注機関によってさまざまですが、 概ね次のような事項を勘案して選定されます。
① 工事施行能力
② 経営状況
③ 過去の契約の履行実績(工事成績及び技術力)
④ 発注工事の地理的条件
⑤ 発注工事施工についての技術的特性
⑥ 安全管理の状況
⑦ 労働福祉の状況(雇用保険、社会保険への加入)
⑧ 暴力団等排除
指名業者が選定された場合は、 当該指名業者宛に「指名通知書」が届けられます。 (電話で通知される場合もあり)
この「指名通知書」には、 一般的に次のようなことが記載されています。
・ 入札に付す工事の名称、場所
・ 入札の日時、場所
・ その他注意事項
設計図書等の閲覧及び見積り
指名通知を受け取ったら、 入札日までの間に、入札に参加する工事の見積もりを行います。
指名通知を受け取ってから入札日の間に、 入札に参加する工事の設計図書等の閲覧や貸出し(又は購入) が可能になります。
この設計図書等を参考に見積りを行うことになります。
入札及び落札者の決定
指名通知書に記載の入札日に入札が行われます。
発注者が開示した予定価格の範囲内で最低制限価格以上の 最低金額で入札した事業者が落札者となります。
最低金額の入札者が2社以上ある場合には、 通常、抽選により落札者が決定されます。
入札日に遅刻すると、 次回の入札に参加できない等のペナルティが課されますが、 事前に申し入れることにより入札の辞退は可能です。
入札辞退者に対しては、ペナルティは課されません。
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行政書士の中村 武と申します。
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